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[中国]『香港マカオ台湾居民内地(大陸)社会保険加入暫定弁法』の施行について

中国人力資源及び社会保障部は、2020年1月1日より『香港マカオ台湾居民内地(大陸)社会保険加入暫定弁法』(原文)を施行する。これは、香港、澳門、台湾から内地(大陸)において就業する者に関する内地(大陸)における社会保険の取扱いについて明確にしたものである。


1. 経緯と概要

香港、澳門、台湾から内地(大陸)において就業した者の内地における社会保険の取扱いについては、従前、『台湾香港澳門居民者の内地(大陸)における就業管理規定』第11条(原文)が納付義務を規定していたところ、香港、澳門、台湾からの就業者の就業許可管理の廃止に伴い、当該規定は、廃止になっていた(原文)。

そこで、中国人力資源及び社会保障部は、香港、澳門、台湾から内地において就業した者の内地での社会保険の納付義務を規定した『香港マカオ台湾居民内地(大陸)社会保険加入暫定弁法』(原文)(以下、『弁法』とする)を2019年11月29日付けで公布した。弁法は2020年1月1日より施行される。


弁法では、香港、澳門、台湾から、内地(大陸)に、就業に限らず、居住、就学した場合の中国での社会保険の納付について、納付義務を明確にし(第二条)、加入手続き(第四条)、養老保険の待遇(第六条~第十条)等を具体的に明記した。なお、既に香港、澳門、台湾で当地の社会保険に加入している者は、この証明をもって内地(大陸)での基本養老保険及び失業保険の加入が免除されるという社会保険料の二重払いを防止する調整規定が整備された(第十一条)。


2. 弁法の内容(全訳)

第一条 内地(大陸)において就業、居住及び就学する香港特別行政区、マカオ特別行政区居民の中国公民、及び台湾地区居民(以下香港マカオ台湾居民とする)を保護し、法に基づき社会保険に加入及び社会保険待遇の合法的権利を享受し、社会保険管理を強化するため、《中華人民共和国社会保険法》(以下「社会保険法」とする)等の規定に基づき、本弁法を定める。


第二条 内地(大陸)において法に基づき登録或いは登記している企業、事業単位、社会組織、従業員を持つ自営業経済組織等の使用者(以下「使用者」と統一表記する)が法に基づき雇用、招聘する香港マカオ台湾居民は法に基づき従業員基本養老保険、従業員基本医療保険、工傷保険、失業保険及び生育保険に加入する必要があり、使用者及び本人が規定に基づき社会保険料を納付しなければならない。


内地(大陸)で法に基づき自営業経営に従事する香港マカオ台湾居民については、登録地の関連規定に基づき従業員基本養老保険及び従業員基本医療保険に加入することができる。内地(大陸)の霊活就業者で、香港マカオ台湾居民居住証を取得している香港マカオ台湾居民は、居住地の関連規定に基づき従業員基本養老保険及び従業員基本医療保険に加入することが出来る。


内地(大陸)に居住しており香港マカオ台湾居民居住証を取得している未就業の香港マカオ台湾居民は、居住地の規定に基づき都市農村住民基本養老保険及び都市農村住民基本医療保険に加入できる。


内地(大陸)で就学する香港マカオ台湾人の大学生は、内地(大陸)の大学生と同等の医療保障政策を執行し、規定に基づき参加高等教育機関所在地の都市農村住民基本医療保険に加入する。


第三条 使用者が法に基づき雇用、招聘する香港マカオ台湾居民は、その社会保険登記のために香港マカオ台湾居民の有効な身分証、及び労働契約、雇用契約等の証明資料を所持しなければならない。在内地(大陸)で法に基づき個人事業者、或いはフリーランス(原文:「霊活就業」)の香港マカオ台湾居民については、登録地(居住地)の関連規定に基づき社会保険登記手続きをしなければならない。


既に香港マカオ台湾居民居住証を取得し、内地(大陸)の都市農村住民基本養老保険及び都市農村住民基本医療保険加入条件に当てはまる香港マカオ台湾居民は、香港マカオ台湾居民居住証を以って居住地において社会保険登記手続きを行う。


第四条 香港マカオ台湾居民が社会保険の各項手続きをする際の業務フローは内地(大陸)居民のものと同様である。社会保険処理機構或いは社会保障カード管理機構は香港マカオ台湾居民の為に社会保障番号を開設し,社会保障カードを発行しなければならない。


香港マカオ台湾居民が居住証手続きを行う際に取得する公民身分番号が、社会保障番号となる。公民身分番号の無い香港マカオ居民の社会保障番号は、由社会保険処理機構或いは社会保障カード管理機構より按照国家統一規定に基づき作成する。


第五条 社会保険に加入する香港マカオ台湾居民は法に基づき社会保険待遇を享受する。


第六条 従業員基本養老保険に加入する香港マカオ台湾居民が法定退職年齢に達し、累計納付年数が15年に満たない場合、満15年に達するまで納付を延長することが出来る。社会保険法実施以前に加入しており、納付を5年延長しても15年に満たない者については、一括で納付することが出来る。


都市農村住民基本養老保険に加入する香港マカオ台湾居民で、受領待遇条件に当てはまる者については、居住地において関連規定に基づき都市農村住民基本養老保険待遇を受領する。受領待遇年齢に到達した時に累計納付年数が15年に満たない場合、関連規定に基づき納付を延長或いは追納することができる。


従業員基本医療保険に加入する香港マカオ台湾居民で、法定退職年齢に達した時に累計納付年数が国家規定年数に到達している場合、定年退職後基本医療保険料を納付せず、国家規定に基づき基本医療保険待遇を享受する。国家規定年数に到達していない場合、国会規定年数に到達するまで納付することが出来る。定年退職人員が基本医療保険待遇を享受する年数は各地の規定に基づき執行する。


都市農村住民基本医療保険に加入する香港マカオ台湾居民は、所在統一地区の都市農村住民と同等の基準で納付し、同等の基本医療保険待遇を享受する。


基本医療保険に加入する香港マカオ台湾居民について、国外で発生する医療費用に関しては基本医療保険基金の支払範囲に含まない。


第七条 香港マカオ台湾居民が規定の年金受領条件に達する前に内地(大陸)を離れる場合、その社会保険個人口座を保留することができ、次回内地(大陸)で就業、居住し納付を継続する場合、納付年数を累計計算する。本人の書面申請により社会保険関係を終了する場合、その社会保険個人口座の残高を一括して本人に支給することが出来る。


香港、マカオ、台湾居民身分を獲得した内地(大陸)居民について、内地(大陸)を離れる際に社会保険関係を保留することを選択する者は、内地(大陸)に戻って就業、居住し且つ加入継続する際、元の納付年数と合算して計算する。内地(大陸)を離れる際に既に社会保険関係を終了することを選択した者については、原納付年数は合算して計算せず、その社会保険個人口座の残高を一括して本人に支給することが出来る。


第八条 社会保険加入する香港マカオ台湾居民が内地(大陸)で統括地区を跨いで社会保険関係の移動手続きを行う場合、国家関連規定に基づき執行する。香港マカオ台湾居民で企業従業員基本養老保険に加入する者については、基本養老保険納付口座開設の関連規定を適用しない。既に養老保険待遇を取得している者については、基本養老保険関係移動手続きを行うことは出来ない。既に定年退職人員の医療保険待遇を享受している者は、基本医療保険関係の移動手続きを行うことは出来ない。


従業員基本養老保険に加入する香港マカオ台湾居民が省を跨いで就業する場合、基本養老保険関係を移管しなければならない。年金受領待遇条件に達した場合、基本養老保険関係所在地の累計納付年数が満10年に達した者は、当該地において受領待遇の手続きを行う。基本養老保険関係所在地の累計納付年数が満10年に達しない者は、その前に基本養老保険関係の累計納付年数が満10年あった加入地で受領待遇手続きを行う。各加入地での累計納付年数がいずれも10年に満たない場合、納付年数が一番長い加入地より基本養老保険関係及び関連資金の収集、受領待遇手続、及び基本養老保険待遇の支払を担当する。もし納付年数が同じ最長加入地が複数ある場合、その最後の最長加入地が基本養老保険関係及び関連資金の収集、受領待遇手続、及び基本養老保険待遇の支払を担当する。


従業員基本養老保険に加入する香港マカオ台湾居民が省を跨いで就業する際に、法定退職年齢に到達した累計納付年数が15年に満たない場合、本条第二項の関連待遇受領地の規定に基づき継続納付地を確定した後本弁法第六条第一項に基づき処理する。


第九条 月毎に基本養老保険、工傷保険待遇を受領する香港マカオ台湾居民については、社会保険処理機構の規定に基づき、受領待遇資格認証手続きを行わなければならない。


月毎に基本養老保険、工傷保険、失業保険待遇を受領する香港マカオ台湾居民が受領資格条件を喪失した後、本人或いはその親族が1ヶ月以内に社会保険処理機構に対して事実通りに状況報告を行わなければならない。自発的に報告を行わずに過剰に受領した待遇については適時に社会保険処理機構に返却しなければならない。


第十条 各級の財政は、内地(大陸)で都市農村住民基本養老保険及び都市農村住民基本医療保険(香港マカオ台湾大学生は除外する)に加入する香港マカオ台湾居民に対し、所在統一地区都市農村住民と同じ基準で補助を支給する。


各級の財政は香港マカオ台湾大学生で都市農村住民基本医療保険に加入する者に対し、関連規定に基づき補助政策を執行する。


第十一条 既に香港、マカオ、台湾で当地社会保険に加入しており、且つ社会保険関係を保留継続する香港マカオ台湾居民は、関連授権機構の発行する証明を以って、内地(大陸)で基本養老保険及び失業保険に加入しないことが可能である。


第十二条 内地(大陸)及び香港、マカオ、台湾の関連機構が社会保険関連事項について具体的な調整を行う場合関連規定に基づき手続きを行う。


第十三条 社会保険行政部門或いは社会保険費徴収機構は社会保険法規定に基づき、香港マカオ台湾居民の社会保険加入状況について監督検査をしなければならない。使用者が法に基づき雇用、招聘する香港マカオ台湾居民について社会保険登記手続きをしない、或いは法に基づき社会保険料を納付しない場合、按照社会保険法等の法律、行政法規及び関連規則の規定に基づき処理を行う。


第十四条 弁法における “香港マカオ台湾居民の有効な身分証”とは、香港マカオ居民内地往来通行証、香港マカオ台湾居民居住証を指す。


第十五条 本弁法は2020年1月1日から施行する。

(2020年1月作成)


※各地の運用状況が異なる場合があります。実際の状況につきましては各所在地にて再度ご確認ください。

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