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[中国]『新型コロナウイルス感染影響と労働関係対応に関する通知』について

新型コロナウイルス感染拡大により企業活動への影響が懸念されますが、労働関係の対応について、国の《人力資源社会保障部弁公庁 新型コロナウイルス感染肺炎拡大防止期間の労働関係問題に関する通知》(人社発明電[2020]5号)の方針に基づき、北京、上海、広東省の各人力資源と社会保障部門より発布された関連の通知文の概要は以下の通りです。


1. 北京

《感染拡大防止期間に労働関係安定維持を行うことに関する問題の通知》

(京人社労字[2020]11号)(原文

1

.企業は感染した従業員に対し法により医療期間と病休給与を保障しなければならない。

・疾病により治療休暇する期間中、「医療期間」を享受させ、労働契約/集団契約に基づき病休給与を支給。病休給与の基準は北京市の最低賃金基準の80%以上。

2

.感染により隔離された人員及び適時に北京に戻って復職できない人員の適切な処理

・感染者・疑似感染者、濃厚接触者の隔離・医学監察期間中の給与待遇は、正常勤務時間に基

づき支給。

・感染拡大により適時に北京に戻っていない従業員に対し、企業は優先的に従業員の有給休暇

を手配可能。

・職場復帰まで比較的長期となる場合、従業員と協議一致して、就業待機を手配可能。就業待機期間、本市最低賃金基準の70%以上で基本生活費を支給しなければならない。

・出張従業員で適時に北京に戻れない従業員に対し、正常勤務期間の給与として支給。


2. 上海市

《人力資源社会保障部弁公庁 新型コロナウイルス感染肺炎感染拡大防止期間の労働関係問題の適切処理に関する問題の通知》 (原文

1

.感染者、疑似感染者、濃厚接触者の隔離治療期間・医学監察期間及び政府の隔離措置或はその他の緊急措置の実施により正常労働を提供できない従業員に対し、企業はその期間の労働報酬を支給しなければならず、労働契約法第四十条、四十一条に基づき労働契約を解除してはならない。


この期間中、労働期間が満了する場合、それぞれ従業員の医療期間満了、医学監察期間満了、隔離期間或は政府の緊急措置終了まで順延する。


2.

感染拡大により生産経営が困難となる企業は、従業員との協議一致を通じ、賃金調整、シフト勤務、勤務時間短縮等の方式により職場を安定させ、リストラを最小にする。

・企業の生産経営停止が一賃金支給周期内の場合、企業は労働契約の規定に基づく標準で給与を支給する。

・生産経営停止が一賃金支給周期を超えて、従業員が正常労働を提供した場合、企業の支給する給与は当地の最低賃金標準を下回ってはならない。正常労働を提供していない場合、企業は生活費を支給しなければならず、生活費基準は各地の規定に基づき執行する。


3

感染の影響を受ける場合、仲裁時効は中止となり、時効中止の原因消滅の日から時効期間を継続して計算する。

労働人事争議仲裁機構の審理期限も相応に順延することができる。


3. 広東省

《新型コロナウイルス感染肺炎対応についての労働関係に関する通知》(原文


1

.隔離治療期間・医学監察期間・政府隔離措置・その他緊急措置期間中、労働契約法第四十条、四十一条による契約解除は不可。労働契約満了者に対し、それぞれの期間終了まで順延する。


2

感染者・疑似感染者・濃厚接触者の隔離治療期間或は医学監察期間・政府隔離措置・その他緊急措置の実施で正常に労働を提供できなくなった従業員に対し、正常労働時間給与を支払わなければならない。


3

.広東省に戻っておらず職場に復帰していない従業員の休暇を合理的に手配する

 従業員との協議一致を経て、優先的に従業員の有給休暇を手配することができる。

 従業員は有給休暇取得期間中、正常勤務期間と同様の賃金収入を享受できる。


4

.従業員との協議一致により賃金調整やシフト勤務、就業待機を通じリストラを最小にする。


5

.生産経営停止する場合、一賃金支給周期(最長30日)を超えない場合、正常勤務期間に基づき給与を支払う。一賃金支給周期を超える場合、従業員の提供する労働に基づき、双方新たに約定した基準で給与を支給することができる。企業が勤務を手配しない場合、当地の最低賃金基準の80%以上で従業員の生活費を支払う。生活費支給は企業の再開、再稼働、或は労働契約解除まで。


6

.労働紛争当事者は広東省Wechatミニプログラムでの申請を勧める。感染影響を受ける場合、仲裁時効を中止し、開廷審理の延期を申請することができる。

(以上)


(注釈)

法定有給休暇は以下の通り。

従業員の累計勤務満1年で10年未満の場合、年度有給休暇は5日とする。満10年で20年未満の場合、年度有給休暇は10日とする。満20年の場合、年度有給休暇は15日とする。


労働契約法第四十条、四十一条

第四十条 以下の情況のいずれかがある場合、雇用者は30日前に書面にて労働者本人に通知するか或は1ヶ月分の給与を労働者に支払い、労働契約を解除することができる。

(1)労働者の罹患或は公務に因らない負傷で、規定の医療期間満了後元の業務に従事できず、雇用者が別途手配した業務にも従事できない場合。

(2)労働者が業務に堪えられず訓練或は職場調整を経ても業務に堪えられない場合。

(3)労働契約締結時に根拠とした客観状況に重大な変化が発生し、労働契約の履行が不能となり、雇用者が労働者との協議を経ても労働契約内容の変更に協議一致できない場合。


第四十一条 以下の情況のいずれかがある場合、人員削減の必要な人員が20人以上であるか、或は20人未満であるが企業従業員総数の10%以上を占める場合、雇用者は30日前に書面で工会或は全体従業員に情況を説明し、工会或は授業員の意見聴取後、人員削減方案を労働行政部門にて報告し、人員削減を行うことができる。

(1)企業破産法の規定に基づき再編する場合

(2)生産経営に深刻な困難が発生した場合

(3)企業の生産シフト、重大技術革新或は経営方式の調整があり、労働契約変更後、依然として人員削減が必要な場合

(4)その他労働契約締結時に根拠としていた客観的な経済状況に重大な変化が発生し、労働契約を履行できなくなった場合

人員削減時、優先的に以下の人員を留保しなければならない。

(1)当雇用者と比較的長期の固定期限労働契約を締結した者

(2)当雇用者と無固定期限の労働契約を締結した者

(3)家庭にその他の就業人員がおらず、老人或は未成年者を扶養する必要がある者。

 

雇用者は本条第一項の規定に基づき人員削減を行い、6か月以内に再度人員募集をする場合、ま

ず削減した人員に通知し、同等の条件であれば削減した人員を優先的に再雇用する。


(2020年1月27日作成)


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