国家人力資源・社会保障部は同通知(原文、以下『通知』と呼称)を2020年9月30日付で公布した。
1. 概要
主に以下の点を明確化している。
① 企業間の従業員シェアの発展を支持:従業員シェアを通じて従業員の編成を安定化させた企業に対し、社会保険費の段階的な減免・雇用安定還付金等の政策を規定に基づき継続的に実施する。
② 従業員シェアにて提供される就業サービスの内容:従業員シェアにおける職位の需要と供給の情報は公共就業サービスとして従業員が不足する企業向けに公開される。従業員シェアを実施する企業・従業員に対して労働法律政策コンサルティング等のサービスが無料提供される。
③ 従業員シェアで企業間が協議・締結すべき内容。従業員数、労働時間、就業場所、職務内容、休憩、労働者保護条件、労働報酬基準及び支給期限と方法、食事と宿舎のアレンジ、 従業員が出戻り可能な状況、従業員に労災が発生した場合の責任の区分及び保証方法及び交通費等の費用清算等の調整が含まれる。
④ 企業の従業員の意向と知る権利を適切に尊重:企業は労務派遣従業員を従業員シェアの 名目で別の事業者 にて 勤務させてはならない 。
⑤ 所属企業と従業員の間で協議の上変更する労働契約 の具体的な内容:従業シェアでの新しい就業場所、職務内容、勤務時間、休憩、労働報酬、労働条件及び従業員が不足している企業で勤務する期間に遵守すべき企業の制度等。また従業員シェアは、従業員が自らの意志で他の事業体で勤務する状況を含まない。
⑥ 所属企業と従業員が不足する企業の従業員シェア期間における双方の義務:従業員シェア期間に労災事故が発生した場合、所属企業が労災保険の責任を負担する。補償方法は双方の企業で約定可能。
⑦ 企業の雇用と労働者の業務の自主権の保障:従業員が要求して所属企業に戻る権利及び 従業員が不足する企業が従業員を戻す権利、従業員シェア期間の満了時に所属企業に戻る或いは継続する、或いは所属企業との労働契約を解除(違法解除を含む)する状況及び賠償責任等。
2. 経緯
中国の従業員シェアは、新型コロナウイルスの感染拡大により人手不足となった業種に対する救済措置として最近拡大しているが、係る法整備が待たれる状況であった。今回『通知』の発布により、従業員シェアを実施する際の具体的な指導意見が明確にされた。なお、2020年9月度の国家都市部調査失業率は5.4%となり前月比で0.2ポイント、新型コロナウイルスの感染拡大が企業に与える影響が特に激しかった2020年2月度との比較では0.8ポイントの低下となっている。
(2020年 10月作成)
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