広州市財政局・科学技術局・人力資源及び社会保障局・税務局四部門は、『広州市の広東省-香港-マカオ大湾区個人所得税優遇政策財政補助金管理試行方法』(原文)を公布した。これは、既に、広東省で発表されている個人所得税の優遇政策について、その享受を受けるための具体的な手続きを規定したものである。
1. 経緯と概要
中国財政部・国家税務総局は、広東省-香港-マカオ大湾区の建設における人材誘致政策の一環として、広東省及び深セン市の財政・税務部門宛てに『広東省-香港-マカオ大湾区個人所得税優遇政策についての通知』(財税[2019]31号)(原文)を発布していた。
この通知に基づき広東省税務局は、広州市、深セン市等広東省内の珠江デルタ9市宛てに『広東省-香港-マカオ大湾区個人所得税優遇政策徹底実行についての通知』(粤財税〔2019〕2号)(原文)を発布し、優遇の対象となる人材、優遇される所得の範囲について明確化した。通知では、具体的な人材認定と補助金の支給方法の手順についての実施弁法を、対象各市が定めるよう要求していた。
広州市は、『広州市の広東省-香港-マカオ大湾区個人所得税優遇政策財政補助金管理試行方法』(原文)を公布し、この人材認定と補助金の支給方法に関する具体的な手順を明確化した。なお、同優遇制度の対象は主に外国人であることから、広東省税務局ホームページ内により同規定の各言語翻訳版(英語(原文)、日本語(原文)、韓国語(原文))が公開されている。
2. 『管理施行方法』の内容(主要部分を抜粋)
第三条 広州市行政範囲内で勤務する境外高級人材(※)と緊急不足人材に対し、広州市で納付済の個人所得税金額が納税要所得の15%を超した部分に対し、財政補助金を支払う。当財政補助金に対しては個人所得税を徴収しない。
第四条 個人所得税の税金差額の計算は一つの納税年度を基準とする。納税年度は西暦1月1日から12月31日までとする。広東省-香港-マカオ大湾区個人所得税優遇政策財政補助金は年に一回実施し、個人所得税を納付した翌年に年度清算を済ませた後、補助金の申請を受け入れ、支払う。
第六条 当方法第3条が称する境外高級人材(※)は「広州市境外高級人材目録」標準(2019年標準は添付書類1を参考)に合うべきである。
第十三条 財政補助金は年に一回処理し、年度財政補助金の申込は翌年7月1日から 8月15
日の間に受入れる。補助金申請条件に合うが、決まった期間内に申請していない場 合、翌年の補助金申請期間内に補充申請できる。あらためて期間を越した場合、申請を受取らず、補助金を支払わない。
※外国人工作許可証のA類保持者は、境外高級人材に該当する。外国人工作許可証のB類
保持者の取扱いについては、言及なし。
※本規定は、2019年1月1日から12月31日の1年度のみ有効。2019年度の納税所得に係る財
政補助金の申請は、本規定に基づき申請する。
3. 他市の同種規定の整備状況
広東省-香港-マカオ大湾区個人所得税優遇政策の対象となる広東省内珠江デルタ9市のうち、広州市を除く他の都市の同種の規定の整備状況は、以下の通り。なお、整備されている規定の内、A類の外国人工作許可保持者は、いずれも補助手当の申請を認めているが、B類の外国人工作許可保持者については、取り扱いが異なったので、この点を備考欄に明記する。
深セン市については、現時点で関連規定の公布を確認できなかった。日系企業の現地駐在員について本邦支給給与を中国源泉の所得として合算・申告する場合等、個人所得税の納税額が多額に上る場合が多い。このため、外国人工作許可のA類をあらかじめ取得する等、本政策の積極的な活用が必要である。各地の規定に基づいた具体的な申請のコンサルティング等については、弊社窓口までお問合せ頂きたい。
(2019年12月作成)
※各地の運用状況が異なる場合があります。実際の状況につきましては各所在地にて再度ご確認ください。
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